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6つの体質タイプ

漢方(東洋医学)では、体と心のバランスのくずれ方によって、いくつかの「体質タイプ」があると考えます。 それぞれの特徴・なぜ不調が起こるのか・セルフケア・食事のヒントを、やさしくご紹介します。

気虚

ききょ

がんばりすぎ消耗タイプ

漢方では、体を動かしたり内臓を働かせたりする力のもとを「気(き)」と呼びます。気は、いわば体の“バッテリー”のようなもの。気虚(ききょ)は、この気が足りなくなって、ガス欠ぎみになっている状態です。少し動いただけで疲れる、午後になると電池が切れる――そんなサインが出やすくなります。

よくあらわれるサイン

  • 朝からすでに疲れている
  • 少し動くと息切れ・だるさを感じる
  • 風邪をひきやすい/治りにくい
  • 声が小さく、やる気が出にくい
  • 食後に強い眠気がくる

なぜ、その不調が起こるの?

気(エネルギー)は、主に「食べたものを消化して取り込む力」と「呼吸」によって作られます。睡眠不足や働きすぎ、食事を抜く生活が続くと、気を作るより使う量のほうが多くなり、少しずつバッテリー残量が減っていきます。とくに胃腸(漢方でいう『脾(ひ)』=消化吸収をつかさどる場所)が疲れていると、食べても気をうまく作れず、悪循環におちいりやすくなります。だから「休んでいるのに回復しない」という状態になりやすいのです。

セルフケアの方法

  • まずは“早く寝る”こと。気は夜の睡眠でチャージされます
  • がんばりすぎを手放し、6〜7割の力で動く日をつくる
  • ウォーキングなど軽い運動を少しだけ。激しい運動はかえって消耗します
  • 冷たい飲み物・食べ物を減らし、胃腸を冷やさない
  • ゆっくり噛んで食べ、胃腸の負担を軽くする

食事の改善案

温かくて消化のよいものを“腹八分目”で。胃腸をいたわることが、エネルギーを取り戻す近道です。

◎ おすすめ

米・いも類・かぼちゃ・鶏肉・山いも・なつめ・きのこ類

△ 控えめに

冷たい飲み物・生もの・冷たいサラダ中心の食事・甘いお菓子のとりすぎ

おすすめの薬膳茶

氣(き)のお茶

氣のお茶は、不足したエネルギー(気)をやさしく補うことを目指したブレンド。疲れがとれにくい気虚タイプの土台づくりに寄り添います。

気滞

きたい

ストレスためこみタイプ

気(エネルギー)は、足りているかどうかだけでなく、“スムーズに流れているか”も大切です。気滞(きたい)は、気の量は足りていても、流れが渋滞してしまっている状態。ストレスや緊張で心と体がこわばり、張る・つまる・モヤモヤするといった感覚が出やすくなります。

よくあらわれるサイン

  • イライラ・気分の浮き沈みが大きい
  • ため息が多い/のどや胸がつまる感じ
  • おなかが張る、ガスがたまりやすい
  • 頭痛や肩こりが、緊張するとひどくなる
  • 寝つきが悪い、考え事が止まらない

なぜ、その不調が起こるの?

気のめぐりは、感情の状態と深く結びついています。漢方では、気の流れをコントロールする働きを『肝(かん)』が担うと考えます(ここでいう肝は、西洋医学の肝臓そのものではなく“自律神経やストレス調整の働き”に近いイメージです)。ストレスや我慢が続くと、この調整役が緊張で固まり、気の通り道が渋滞します。すると、流れが止まった場所に張りや痛み、モヤモヤが生まれます。症状が日によって場所を変える・ストレスで悪化するのが、このタイプの特徴です。

セルフケアの方法

  • 深呼吸を一日数回。ゆっくり吐くことで、気の流れがほどけます
  • 香りの良いもの(柑橘・ハーブ・お茶)でリラックスする
  • 体を伸ばすストレッチ・軽い運動で“めぐり”を促す
  • 気持ちを書き出す・話すなど、ためこまない工夫を
  • スマホやニュースから離れる“静かな時間”をつくる

食事の改善案

“香り”が気のめぐりを助けます。柑橘やハーブの香りを食事や飲み物にとり入れてみましょう。

◎ おすすめ

みかん・柑橘類・三つ葉・春菊などの香味野菜・ミントやジャスミン・玉ねぎ・らっきょう

△ 控えめに

脂っこいもの・食べすぎ・カフェイン・アルコールのとりすぎ

おすすめの薬膳茶

氣(き)のお茶

氣のお茶は、滞った気をスムーズに巡らせることを目指したブレンド。香り高い素材が、張りつめた気滞タイプのリラックスをサポートします。

血虚

けっきょ

うるおい不足タイプ

漢方でいう「血(けつ)」は、西洋医学の血液とほぼ同じものに加えて、“全身に栄養とうるおいを届ける働き”まで含めた広い意味で使います。血虚(けっきょ)は、この血が不足し、体のすみずみまで栄養とうるおいが行き届かなくなっている状態。肌・髪・爪の乾燥や、立ちくらみ、眠りの浅さとしてあらわれやすくなります。

よくあらわれるサイン

  • 肌や髪、爪が乾燥・パサつく
  • 顔色が悪い・くすんで見える
  • 立ちくらみ、めまいがある
  • 眠りが浅い、夢をよく見る
  • 目が疲れやすい・かすむ

なぜ、その不調が起こるの?

血は、食べたものから胃腸で作られ、全身に栄養を運びます。栄養バランスの偏りや無理なダイエット、睡眠不足、目の使いすぎ(スマホ・PC)、女性では月経による消耗などが重なると、血が不足していきます。血は体だけでなく心にもうるおいを与えるため、足りなくなると、肌の乾燥といった“見える不調”に加えて、不安感や眠りの浅さといった“心の落ち着かなさ”も出やすくなります。

セルフケアの方法

  • 夜ふかしを避ける。血は夜、体を休めている間に養われます
  • 目を休める時間をつくる(漢方では“目の使いすぎは血を消耗する”と考えます)
  • 無理なダイエットを避け、しっかり栄養をとる
  • 湯船につかって体を温め、めぐりを助ける
  • 立ち上がりはゆっくりと。立ちくらみ対策に

食事の改善案

赤や黒の色の食材は、血を養うとされます。3食しっかり、栄養を“貯金”する意識で。

◎ おすすめ

赤身肉・レバー・黒豆・黒ごま・なつめ・ほうれん草・小松菜・にんじん・プルーン・クコの実

△ 控えめに

極端な食事制限・冷たいもの・刺激物のとりすぎ

おすすめの薬膳茶

補(ほ)のお茶

補のお茶は、体の内側からうるおいと活力を養うことを目指したブレンド。栄養とうるおいが不足しがちな血虚タイプの土台づくりに寄り添います。

瘀血

おけつ

巡り不足タイプ

血(けつ)は、足りているだけでなく、スムーズに流れていることが大切です。瘀血(おけつ)は、血のめぐりが悪くなり、ところどころで滞ってしまっている状態。流れが悪い場所に冷えや痛み、くすみが生まれやすく、肩こり・頭痛・クマ・生理痛として感じられることが多いタイプです。

よくあらわれるサイン

  • 肩こり・首こりが慢性的にある
  • 手足が冷える
  • 顔色がくすむ、目の下のクマが目立つ
  • 刺すような痛み(同じ場所が痛む)
  • あざができやすい、唇の色が暗い

なぜ、その不調が起こるの?

血のめぐりは、「体の温かさ」と「気(エネルギー)の推進力」によって保たれています。冷え・運動不足・長時間同じ姿勢でいること、ストレスによる気の渋滞(気滞)が続くと、血の流れがゆるやかに滞っていきます。とどこおった血は、その場所に栄養と酸素を届けにくくし、冷えや痛み、くすみとしてあらわれます。“いつも同じ場所が痛む・押すと痛い”のは、瘀血タイプに多いサインです。

セルフケアの方法

  • 体を冷やさない。とくに首・お腹・足首を温める
  • こまめに体を動かし、同じ姿勢を続けない
  • 湯船でしっかり温まり、めぐりを促す
  • 軽い有酸素運動(ウォーキング)を習慣に
  • 肩・首をゆっくり回すストレッチを取り入れる

食事の改善案

体を温め、めぐりを助ける食材を。冷えはめぐりの大敵なので、まずは“温める”ことから。

◎ おすすめ

玉ねぎ・らっきょう・青魚(いわし・さば)・黒きくらげ・しょうが・酢のもの・納豆

△ 控えめに

冷たい飲食物・脂っこいもの・甘いもののとりすぎ

おすすめの薬膳茶

氣(き)のお茶

氣のお茶は、気を補い巡らせることを目指したブレンド。血を押し流す力=気の推進力をサポートし、冷え・肩こりが気になる瘀血タイプに寄り添います。

陰虚

いんきょ

カラカラおつかれタイプ

漢方では、体には“温める力(陽)”と“冷やしうるおす力(陰)”がバランスよく備わっていると考えます。陰虚(いんきょ)は、この“うるおい・冷却水”にあたる「陰(いん)」が不足した状態。体を冷やしてしずめる力が弱まるため、相対的に熱がこもり、ほてり・のどの渇き・寝つきの悪さといったサインが出やすくなります。

よくあらわれるサイン

  • 口やのどが渇きやすい
  • 手足やほほがほてる、のぼせる
  • 寝つきが悪い、夜中に目が覚める
  • 寝汗をかく
  • 夕方〜夜になると元気・目が冴える

なぜ、その不調が起こるの?

体のうるおい(陰)は、加齢・睡眠不足・働きすぎ・水分不足・辛いものや刺激物のとりすぎなどで少しずつ消耗します。うるおいは“体の打ち水”のようなもので、これが減ると、体を内側からしずめて冷やすことができず、熱がこもってほてりやのぼせになります。日中はもちこたえても、夜になると体を休めるためのうるおいが足りず、かえって目が冴えてしまう――これが陰虚タイプの特徴です。

セルフケアの方法

  • 夜ふかしは禁物。うるおいは睡眠中に養われます
  • 辛いもの・熱いもの・刺激物を控えめに
  • こまめに水分をとり、うるおいを補給する
  • がんばりすぎ・興奮しすぎを避け、夜は静かに過ごす
  • 長時間の激しい運動・サウナで汗をかきすぎない

食事の改善案

白い食材・みずみずしい食材が、体のうるおいを補うとされます。体に“打ち水”をするイメージで。

◎ おすすめ

白きくらげ・豆腐・豆乳・れんこん・梨・びわ・山いも・はちみつ

△ 控えめに

唐辛子など辛いもの・アルコール・カフェインのとりすぎ・揚げ物・こってりした料理

おすすめの薬膳茶

補(ほ)のお茶

補のお茶は、腎を養い体の内側からうるおいを育てることを目指したブレンド。うるおい不足でほてりがちな陰虚タイプの土台づくりに寄り添います。

痰湿(水滞)

たんしつ(すいたい)

胃腸おつかれ・むくみタイプ

体の中の水分は、めぐって使われ、いらなくなったものは外へ出されます。この流れが滞ると、余分な水分や老廃物が体にたまっていきます。漢方ではこのたまった状態を「水滞(すいたい)」や「痰湿(たんしつ)」と呼びます。体が重い・むくむ・頭が重い・胃腸がもたれる――そんな“たまっている”サインが出やすいタイプです。

よくあらわれるサイン

  • 体が重だるい、むくみやすい
  • 雨の日や湿気の多い日に不調が出る
  • 胃腸がもたれる、おなかがゆるくなりやすい
  • 頭が重い、ぼーっとする
  • 舌に白い苔(こけ)が厚くつく

なぜ、その不調が起こるの?

体の水分の代謝は、おもに胃腸(漢方でいう『脾』=消化吸収と水分のさばきをつかさどる場所)の働きに支えられています。冷たいものや甘いもの、脂っこいもののとりすぎ、運動不足が続くと、胃腸が疲れて水分をうまくさばけなくなり、余分な水分が“ヘドロ”のように体にたまっていきます。これが重だるさやむくみの正体です。湿気の多い季節や雨の日に悪化しやすいのも、外の湿気が体のたまりと響き合うためと考えます。

セルフケアの方法

  • 体を動かして汗をかき、余分な水分をめぐらせる
  • 冷たいもの・甘いもの・脂っこいものを控えめに
  • よく噛んで腹八分目。胃腸の負担を減らす
  • 湯船やストレッチで体を温め、めぐりを助ける
  • 夜遅い食事を避け、胃腸を休ませる時間をつくる

食事の改善案

余分な水はけをよくする食材を。胃腸を冷やさず、軽い食事を心がけることがポイントです。

◎ おすすめ

はと麦・小豆・黒豆・とうもろこし(ひげ茶も)・冬瓜・きゅうり・海藻類・しょうが

△ 控えめに

冷たい飲み物・アイス・甘いお菓子・ジュース・揚げ物・脂っこいもの

おすすめの薬膳茶

水(みず)のお茶

水のお茶は、滞った水分の代謝を後押しし、体を軽やかに整えることを目指したブレンド。むくみ・重だるさが気になる痰湿タイプに寄り添います。

漢方の言葉ミニ辞典

体を動かし、内臓を働かせるエネルギー。体の“バッテリー”のようなもの。
けつ
全身に栄養とうるおいを運ぶもの。血液に“栄養を届ける働き”まで含めた広い意味。
水(津液)すい(しんえき)
体をうるおす水分全般。汗・唾液・体液など。
陰陽いんよう
体を“冷やしうるおす力(陰)”と“温める力(陽)”。両者のバランスが健康のカギ。
消化吸収と水分のさばきをつかさどる働き。胃腸のチームリーダー的存在。
じん
生命力・若々しさ・うるおいを蓄える場所。体の“貯金箱”のようなもの。
かん
気のめぐりや感情を調整する働き。自律神経やストレス調整に近いイメージ。
未病みびょう
病気ではないが、健康でもない“なんとなく不調”の状態。早めに整えることが大切。